他の多くの伝統的工芸品がそうであるように、「房州うちわ」の職人は高齢化が進んでいます。

そんな中、一人の伝統的工芸士が先月亡くなりました。

「うやま工房」の宇山正男さんです。86歳でした。

 

6月下旬に「お腹が痛い」とお聞きして、慌てて「うやま工房」を訪ねました。

病院で検査を受けて結果が出る前日でした。

ご本人は重大な病気だと予感していたようですが、もしそうだったとしても手術はしないとおっしゃいました。

人生に思い残すことはないと考えていらっしゃるようでした。

 

最後にお会いしたのは8月中旬のことでした。

だいぶんお痩せになっていました。

「今年は珍しくこの時期に追加の注文が来て、昨日も頑張って仕事をしたら疲れちゃった」と笑っていました。

 

そして、今年のうちわ作りはすっかりやり終わったであろう9月に亡くなりました。

 

最後まで職人として仕事をやり続け、やり切って、ご本人は満足して逝ったと思います。

 

ご冥福をお祈り致します。